
「提案のメジャーリーグに挑戦してつかんだ自信」
今回は、APMP(Association of Proposal Management
Professionals)が主催するBid & Proposal Conference (BPC)にて登壇された佐々木さんにお話を聞きました。
BPCは、毎年5月~6月にアメリカで開催され、入札・提案活動の専門家が集まる世界最大級の対面式カンファレンスです。
佐々木さんは、2022年より会員となられ、その後、社内を牽引する立場で活動されています。
--これまでのご経歴を教えてください。
新卒で日立製作所に入社し、パブリックセクターのマーケティング部門を経て、デジタル&サービス領域での提案活動に特化した専門組織の立ち上げに携わってきました。気が付けば組織立上げから8年が経ちました。
--現在のお仕事内容を教えてください。
現在は、提案専門組織のリードとして、日立製作所の提案マネジメント全般の高度化に取り組んでいます。生成AIの実務活用、営業部門との連携、グローバル標準に準拠したプロセス設計などを通じて、提案活動の再現性と組織力の強化を推進しています。また、社内外への教育や仕組みの展開を通じて、全社レベルでの提案力向上にも注力しています。
-- BPC Nashville 2025に登壇することになった経緯を教えてください。
今回の登壇は、APMP日本支部の前代表である式町さんからのお声がけがきっかけでした。ちょうどAPMP日本支部が設立10周年という節目を迎える中で、「実際に企業でプロポーザルマネジメントを実践している現場の声を世界に届けたい」という意図があったようです。私たちとしても、日立の取り組みがグローバルの舞台でどのように評価されるかを知りたいという思いがあり、タイミングが合致しました。
--当日の登壇に向けて苦労した点や工夫した点はございますか?
やはりアメリカの参加者との前提の違いを意識しました。日本のSI(システムインテグレーション)とアメリカのビジネス環境では背景が異なるため、まずはその違いを明確にし、共通の土俵で議論できるように構成を工夫しました。また、プロポーザルマネジメントのエンド・トゥ・エンドプロセスを軸に据えることで、共通言語での対話が可能になり、非常にスムーズなコミュニケーションができたと感じています。
--セッションは大成功だったと伺いました。当日のセッション内容の概要を教えてください。
セッションでは、日米の提案文化の違いや、日本市場のユニークさ、そして日本企業が抱える課題とその克服のアプローチについてお話ししました。特に、提案活動における「縄張り意識」や「積み上げ文化」といった日本特有の商習慣にどう向き合ってきたかを紹介し、会場からも多くの共感と質問をいただきました。
--当日の様子、会場の反応、フィードバックの結果を教えてください。
フィードバックスコアは4.5〜4.6と非常に高評価をいただきました。セッション後には多くの方から声をかけていただき、「とても良かった」「共感した」といった言葉を直接いただけたのが印象的でした。LinkedInでも多くのつながりが生まれ、ある参加者からは私の話と自身の考えを組み合わせた図解まで送っていただき、深い対話が生まれたことに感動しました。
--今回の登壇について、改めてご感想をお聞かせください。今後、登壇をチャレンジしようと考えている方へのアドバイスをお願いします。
やって本当に良かったと思います。自分たちの立ち位置をグローバルの中で確認できたこと、しかもそれが「自分たちの取組みはアメリカでも通用するレベル」だったということは私やチームの自信につながりました。また、英語でのプレゼンや議論は普段それほど多くないので、個人としても何物にも代えがたい経験となりました。アドバイスとしては、「恐れずに挑戦してみてほしい」ということです。同じ提案という分野の仲間として皆さん非常に温かく迎えてくれますし、学びも多いです。また、会社の支援を得ることが非常に重要だと思います。個人での参加は負担が大きいですし、動き方や話せる内容に制限がでるため、社内スポンサーをつけて臨むことを強くおすすめします。
--BPCでの登壇後、社内、社外での反響などありましたら、共有いただけないでしょうか?
社内では「グローバル企業としての立ち位置を示す象徴的な取り組み」として高く評価してもらっています。社外に向けても広報記事を準備中で、今後の展開にもつながる手応えを感じています。
--今後の展望を教えてください。
今後は、データ活用やAIの導入を含めたプロポーザルマネジメントの高度化に取り組みたいと考えています。また、今回のようなグローバルイベントへの継続的な参加を通じて、日本発の知見を世界に発信していくことも目指しています。
--APMP日本支部へのご期待やチャレンジしたいことをお聞かせください。
APMP日本支部は、ゼロから立ち上げてここまで来た素晴らしい組織です。今後は「フェーズ2」として、より一層の産業化、そして世界に影響を与えるような存在になってほしいと願っています。私たちもその一翼を担えるよう、引き続き貢献していきたいです。
--会員の方、これから会員になろうとしている方へのメッセージをお願いします。
提案に関わるすべての方に、APMPへの参加を強くおすすめします。プロポーザルマネジメントという共通言語を持つことで、社内外問わずスムーズなコミュニケーションが可能になりますし、グローバルでも違和感なく対話ができます。できればチーム単位での参加が理想です。提案の「メジャーリーグ」に挑戦する第一歩として、APMPは最適な場だと思います。
(インタビュー実施日: 2025年6月26日)
※プロフィールはインタビュー当日の部署名・役職名を掲載