APMP会員としてプロポーザルマネジメント®に取り組み、職場で実践されている方に取材させていただき、その感想を掲載いたします。


Profile: 2016年まで公官庁のシステム開発の請負を担当。SEとして、官公庁から提示される提案依頼書に対する提案書を作成してコンペで商談を獲得するフェーズから、実際の開発・運用を担う。現在はデジタルテクノロジーの調査に従事。


 

――板垣さんは、今回の研修の実現より前に、早い段階から個人でAPMP会員になっていただき、プロポーザルマネジメント®を早い段階から実務に採り入れる活動をしていただいています。
 まずは、APMP会員になったいきさつなどを教えていただけますか

 

 ブログで、提案に関する世界標準の知識体系(APMP-BOK)があることを知り、興味を持ちました。それを活用することで自分の仕事の中で、提案活動全体の改善ができないかと考え、勉強会に個人的に参加することから始めました。過去に提案活動に失敗したことで、自分のやりたい開発ができなかったり、できたとしてもお客様との関係に問題があってやりたいようにできなかったりした経験が多くあり、提案活動の品質を上げることで、本来自分がやりたい、あるいはやるべきシステム開発に注力したいという思いが参加を後押ししました。

 

 

 

――普段から課題を持っていて、それにマッチした手法を見つけたという感じですね。具体的にどんなことを期待したのでしょうか。

 

 当初は効率的に高品質な提案書を作成できるようになるための道具としてAPMPに期待しました。APMP-BOKの内容を深く知っていくうちに、社内標準との共通点や異なる点、見せ方の違いについて興味を持ち、社内に何か還元できないかとも考えるようになりました。弊社は外資系に比べ、実際の内容や実力は上回っているのに、提案書の品質が低いとお客様に言われることもあり、世界標準のAPMPに何かヒントがあるのではないかという期待もありました。

 

 

 

――なるほど。学んだことをうまく役立てることができたのでしょうか。

 

 それまでに自分自身が実務などから会得していたことや感じていたことが、APMP-BOKでは体系立てて整理されていたので、それを活用することで、チームで作業するときに自分の考えを他人に伝えやすくなりました。その点では、やりたいことが十分に達成できるようになりました。

その際、提案書作成の「キックオフミーティング」から「ふりかえり」まで、APMP-BOKの一連のプロセスを活用したのも重要だったと思います。また、テンプレートをうまく活用して、これまでやっていた作業の効率化をすすめ、同時にこれまでやったことのなかった手法として、ストーリーボードの活用、エグゼクティブサマリーの事前作成などにもチャレンジして、新しい手法を取り入れることもできました。

 

 

 

――やってみた結果、どんな収穫がありましたか。

 

 そうですね。何度か実践すると、やる度に効率化していき、最終的には、自部署の中では一番効率的かつ高品質な提案書がつくれるようになったと自負しています。

一番わかりやすい変化は、残業がなくなったことです。昔は、提案書作成では長時間残業が普通で、ときには徹夜もありました。しかし、作業が効率化したことで定時までの時間で高品質な提案書を作成できるようになりました。

また、提案活動自体が楽しくなったことも個人的には大きな変化です。それまでは、開発のためにやらなければならない作業でしたが、提案活動そのものも欧米では専門職があるプロフェッショナル分野であると知り、モチベーションが高まりました。

 

 

 

 

――チームを巻き込んで実践してみたということになると思いますが、職場や上司の方から何かフィードバックはありましたでしょうか。

 

 職場の一部から、私が作成したキックオフ資料をシェアしてほしい、APMPについて教えてほしいといった依頼をうけ、説明させていただく機会を得ました。営業部門や提案支援部門から評価され、自身のプレゼンス向上にもつながりました。

 評価されたことは非常にうれしいことでしたが、それ以上に、システムエンジニアにもっと理解してもらい、同じ意識を持った仲間が増やすことが本質的な組織スキルの向上につながり、望む姿に繋がるのだと思っています。

 

 

 

 

――今回、研修として職場の他の方々にも改めて学んでいただく機会を作ることができました。

 

 自分が学んで実践できても、それを社内へ還元するという点は達成することが難しいと感じていました。社内に還元しようと思うと、個人の力にはどうしても限界を感じてしまいます。今後、弊社の中でAPMPに入会する個人が増え、弊社がAPMPの法人会員になり、私がやりたかった組織的な改善ができればと願っています。今回研修で行ったワークショップ(プロポソン®)を、自部署の中で開催し、私と同じような成功体験を自部署のシステムエンジニアにも経験してほしいと思います。

 

 

 

――最後に、今後この分野を学ぼうとされる方へ一言コメントをいただけますか。

 

 提案活動にある程度従事していた方であれば、知っていること、感じていたことの確認となる部分が多いはずです。重要な点は、「標準化して効率化すること」「スケール可能にすること」そして、知識の土台の上で「本質的な価値に注力して共創すること」だと思います。そのために、学び、仲間を増やしていけば、必ず努力にみあったリターンが期待できると思います。

 

  

――本日はありがとうございました。